これまでいろんな人のカウンセリングを行ってきた中で感じてきたこと。それは患者さんや相談者の“症状”や“問題”は確かに困ったことではあるのだけど、実はその人の変化・成長のきっかけでもあるってこと。
中国の故事『人間万事塞翁が馬』は、「一見して悪い出来事のように見えることが、その後に幸運をもたらすきっかけであったり、またその逆もあるのだ」ということで、人生の良し悪しは実はよくわからないってことを教えているのです。
例えば今まで大人しかった人が、急に人が変わったように暴れたり不満をぶちまけだしたりして、家族に病院に連れてこられるなんてことがあります。こうしたケースは昔なら「狐憑きにあった」と悪魔祓いや祈祷を受けたものでしょうが、実際落ち着いてから話を聞くと「実はもともと自分には不満や怒りがあったけど、その表現の仕方がわからず困っていた」とおっしゃったりする人がいる。
こうした人のカウンセリングでは「元のおとなしい人」に戻すのではなく、「感情の表現方法を知ること」がむしろ目標になる。つまり行き場のない感情が”症状”や”問題”を生むので、上手な表現の仕方を知ることで、結果的に良くなっていくわけですね。
問題が起きたことで、これまで避けてきた問題を考えざるを得なくなる。それは悪いことだけじゃなく、可能性を模索する機会でもある。そのためには問題の2重性(悪い意味と良い意味)をまずは理解・整理することを通して、その先の変化・成長につなげていく。このような場を提供できるのも、カウンセリングの強みだと考えております。
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