2016年に「朝日カルチャーセンター」で一般市民向けに行われた北山修先生の講演内容(全12回)がYouTubeにアップされているので、今回ご紹介いたします。
北山修先生は、元々「帰ってきた酔っ払い」「あの素晴らしい愛をもう一度」「風」等、かつて1960年代~70年代に音楽活動で活躍された後、精神科医として研鑽を重ねられ、日本の精神分析をリードしてきた臨床心理学の世界では著名な論者のおひとりです。
フロイトやウィニコットの精神分析論をベースに、日本人のためのこころの治療論をわかりやすく語りかけてくださる方でもあり、専門家であっても一般の方々であっても興味のある方はお話を聞かれてみることをおすすめいたします。
第一回のテーマは「愛と甘えについて」
後半では日本の精神分析界のレジェンドである土居健郎先生を紹介しながら、日本文化独特の「甘え」の文化について触れられています。日本人は「甘え」を人間関係においてごく自然に表現することがありますが、欧米人はこうした感情を早いうちから禁止され、その代わりに自立する大切さや「与える愛(隣人愛;キリスト教的価値観)」を強調される傾向があるようです。
またここからが今度は北山先生独自の視点なのですが、日本語自体を分析することによって、あるいは外国語との共通構造を比較することによって、「甘え」や「愛」の本質を分析しようと試みられています。
「愛」「甘え」「ママ」「マンマ;ごはん」「アマテラス」「アモール(amor);愛」「オンマ(엄마);お母さん」「アーメン」...。愛や甘えに関する言葉は、発音すると“唇が会い寄る””MやMA”というような感覚で共通している。またそれは日本語だけでなく、外国語も含めて共通している。言葉の身体的意味とその普遍性がそこには見い出せる...。
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