こころの物語、第3回「不安の正体とは何か?」の続きです。
大人にとっての不安の正体を考える際の第二のポイント。
それは、その不安が現実的な不安なのか、それともその方の「自尊心の低さ」を背景として「必要以上に恐れている」不安なのかどうかを見極めることです。
そもそも人は不安を感じる生き物なのですが、時にそれは必要以上の恐れとなって自分がどうしたらいいかわからなくなってしまう場合がある。
例えば不安が強い人で、「失敗したら人生は終わり」と考えている場合、①「失敗はしたくない」という多くの人が感じる不安以上に、②「失敗したら人生が必ず終わる」とまでの不安がある。皆さんおわかりのように、①は理解できますが、②が過剰で自分を追い込んでしまっている。しかし不安にさいなまれている人の多くは、このあたりがごっちゃになって混乱している。
「失敗したら人生は終わり」と考えている人に、「そんなの心配し過ぎだよ」と言ってもあまり意味がないわけで、大事なポイントは、①や②の不安を持つ理由や背景を理解しながら、②の考えをどのように減らしていくかを話し合っていくことだと思います。
別の視点で言えば、このような「状況を見極める力」が生まれると、人は不安に対しての免疫力を持つようになる。「失敗はしたくない」けれども、人は「失敗をする」生き物でもあります。失敗を回避することが難しいならば、その失敗にどう向き合い、どう生かしていくのかと考えられるのも前向きな姿勢ですね。ここまで来ると不安で動けない状態を脱し、そこを主体的に乗りこなす術も身につけられるようになるわけです。
さてここで、新しいキーワードが出てきました。「主体性」という点について、次回は触れてみたいと思います。
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